外資系コンサルタントが主夫になったら

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ベクトルは2時間で解けるようになる

目標習得時間:2時間 問題数:4問

 

■「図形問題」はすべてベクトルで解ける

ベクトルは数列と並んで数Bの双璧をなす関門ですが、その難しさは、計算問題でも関数でも図形でもない、という概念の難解さにあるのではないでしょうか。そこでまずは、ベクトルを学ぶ一つのモチベーションを提示したいと思います。それは、

ベクトルとは、「図形の問題」を「実数の問題」に置き換えるための技術

だということです。 

図形問題というのは、いかに多くの定理を知っているか、いかに定理の活用に気づけるかが成績の分かれ目になりますが、ベクトルという技術を導入することによって、計算力だけで図形問題を解き切ることができるようになります。従って、ベクトルを勉強するときは、「いかに実数の問題に落とし込むか」という点を意識すると、ぐっと理解が早くなるはずです。

 

■ベクトル学習の論点は2つ

上記を踏まえると、ベクトルを理解するための論点は2つだと言えます。

  1. 問題で提示された図形をベクトルで表現する方法は?
  2. ベクトルを実数の問題に落とし込む方法は?

今回は、まず基礎である1を習得した後で、2ではいきなり受験基礎レベルの問題にチャレンジしてみたいと思います。

 

■ベクトル表現は、つなげる→変形する

問1 

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まずは図形をベクトルで表現する方法ですが、とにかくベクトルをつなげてPまで到達する方法を考えるだけです。最初の時点ではどんなベクトルを使っていてもよく、その後でベクトルを指示された形に変形します。その変形ができるようになるため、一つの公式を覚えておきましょう。

公式:ベクトルの差

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意味を考えるのは混乱するだけなのでお勧めしません。とにかく、「後-前」にするだけで、ベクトルの起点を変えることができる、ということだけ覚えておけば十分です。

他にもベクトルの和、実数倍といった公式がありますが、これらは感覚的に明らかだと思うので、わざわざ覚える必要はありません。

 

さて、この差の公式を使って、ベクトルの表現を演習しましょう。

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まず、三角形の辺をたどって、APを何かしらの形で表現します。回答例ではBを経由しましたが、Cを経由してもOKです。その後で、ベクトルを伸ばしたり縮めたり、差の公式を使ったりして、ベクトルを指示された形に変形します。計算のプロセスは関係なく、多少回り道したとしても気にせず計算してください。

※この問題の解法として「内分の公式」がありますが、上記で十分です。

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こちらも同様です。自力で答えにたどり着けるまで、繰り返しトライしてください。

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さて、ここで理解すべきことが2つあります。

  • 最初にどんなつなぎ方をしても答えが同じになる
  • どんな順序で変形しても答えが同じになる

つまり、「矢印」という図形だったはずのベクトルですが、一度式で表現してしまえば、ただの計算問題として扱うことができるのです。これはもはや計算トレーニングなので、上記で感覚をつかめたら、ぜひ教科書や問題集の類似問題でも演習してみてください。

 

■それでもベクトルの式は計算しにくい→とにかく方程式に落とし込む

では早速ベクトルの応用問題にチャレンジしていきますが、その前に少し意識を整理します。

 

問1によって図形をベクトル式で表現できるようになりましたが、やはり普段扱っている実数の方程式に比べると非常に自由度が低いですね。実はこれは非常に重要なポイントで、ベクトルの問題を解くときは、「早くベクトルの世界を抜け出したい!実数の方程式にしたい!」という意識を持つことが非常に重要です。

そしてそのためには、「ベクトルから実数の世界に移行する技術」が必要になるわけですが、以下の3つを押さえておけば十分と思います。

 

ベクトルから実数の世界に移行する技術

  1. 2つのベクトルが同一であることを利用する
  2. 一直線上にある条件を利用する
  3. 内積を利用する

 

それでは、実際の問題を通じて、この技術を一つずつ確認していきます。

問2 

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これは「交点のベクトル問題」と呼ばれるもので、 教科書レベルでは最難関、センター試験にも頻出の超重要問題です。

まずベクトル問題の基本的な解法を紹介します。それは、パラメータを使ってベクトルを表現→3つの技術のいずれかで方程式に落とし込む→パラメータを求めるという3段階です。特に今回は、「3つの技術」のうち「2つのベクトルが同一であることを利用」を使います。

この方法では、適当なパラメータt,sを使ってAPを2通りで表現し、両者が同一であることを利用して連立方程式を立て、t,sを求めます。

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ここで、①と②は同じベクトルを表しているので、以下の連立方程式によりtとsを求めることができます。

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 このt、またはsを①か②に代入すると、APを求めることができます。

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さて、パラメータを使ってベクトルを表現→3つの技術のいずれかで方程式に落とし込む→パラメータを求めるという流れが見えたでしょうか。ポイントは、いかに実数の問題(=ただの方程式)に持ち込むかです。この問題は非常に重要なので、納得するまで繰り返しチャレンジしてください。逆にこれができるようになると、ベクトルの問題は全て同じに見えてくるはずです。

 

問3 BS:SCを求めなさい。

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この問題は、問2のようにASを2種類の方法で表現→係数比較という方法ではうまくいかず、別の方法を考える必要があります。(ぜひ試してみてください)

そこで、第2の技術として「一直線上にある条件を利用」を導入します。

 

まずは、問1を振り返ります。

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いずれもB,C,Pが一直線上にありますが、ABとACの係数の和が1になっていることがわかるでしょうか。この性質を利用して、

3つの点が一直線上にあるとき、ベクトルの係数の和=1

という方程式を作ることができます。

また、BP:PCの比に注目すると、BPの長さがACの係数、CPの長さがABの係数になっていることがわかるでしょうか。少し図形的な理解ですが、この性質も覚えておくと便利です。 

なお「3つの点が一直線上にある」という条件にはいくつかの表現方法があり、他の表現で教わった方もいらっしゃるかと思いますが「実数の世界に持ち込む」という観点では、ベクトル式を使わない上記の形で理解しておくのが効果的です。

 

さて、この性質利用して問3を解きます。問2で求めたAPを利用します。

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さて、この問題でもパラメータを使ってベクトルを表現→3つの技術のいずれかで方程式に落とし込む→パラメータを求めるという基本方針に変わりないことを確認してください。

なお、数Aを勉強された方は、この問題が「チェバの定理」であることに気づいたかもしれません。もちろんチェバの定理を使って解いてもかまいませんし、そちらの方が圧倒的に計算量も少ないです。しかしここで理解していただきたいのは、ベクトルを利用することで、図形問題特有の「公式を知っている」とか「公式の適用に気づく」といった不確定な要素を排し、計算力だけで図形問題を確実に解くことができる、ということです。

 

問4 A(2,5) B(1,1) C(3,3)とするとき、Aを通り直線BCに垂直な直線の方程式を求めよ。

これが3つ目の技術です。「垂直」「なす角」と言われた場合は、ベクトルの「内積」を利用するのが定石です。こちらも実数をベースにした公式で覚えるのがコツです。 

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さて、この問題でも基本的な方針は変わらず、パラメータを使って表現→内積で実数の世界へ、です。ただ、今回の目的は直線の方程式を求めることなので、パラメータの値を求める必要はなく、ベクトルの世界を飛び出したところで答えとなる部分がひとクセあります。

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■結局ベクトルの問題は、パラメータを設定する→実数の世界に持ち込む

平面のベクトルは以上です。教科書には他にも色々な種類の計算問題がありますが、それらはいずれも問2~問4を解くための準備と考えてください。上記の問題が解けるようになった後で見返すと、取るに足らない問題に見えるはずです。

 

最後にもう一度復習しますが、ベクトルとは、

「図形の問題」を「実数の問題」として解くことができる 

という技術でした。そしてその方法は、パラメータを使ってベクトルを表現→3つの技術のいずれかで方程式に落とし込む→パラメータを求めるです。

 

今回は問題が少し難しかったこともあり、問2~問4で躓かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、確かにベクトル表現と実数への移行には少しコツが必要という点も事実です。 

しかし、今回の演習問題が解ければベクトルの問題はセンター試験レベルに達すると思いますので、ぜひ繰り返しチャレンジしてみてください。